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MOA美術館 リニューアルプロジェクト(中編)

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「想い」を実現したうえで予算内で収めたい

国宝、色絵藤花文茶壺(野々村仁清作)の展示室は、江戸黒とも呼ばれる深みのある黒漆喰を使用。美術品を引き立てる。 国宝、色絵藤花文茶壺(野々村仁清作)の展示室は、江戸黒とも呼ばれる深みのある黒漆喰を使用。美術品を引き立てる。

「想い」の実現はプロジェクトマネジメントの提案なしには実現できない

日比生
デザイナーのアイデアを何とか実現させるのも、施設参謀である私たちの役割です。展示ケースの中の台に、杉本さんから銘木を使いたいという提案をいただきました。独創的な素晴らしいアイデアでしたので、採用したのですが、実際に作ってみたら一部割れが生じてしまったということがありました。

これは「枯らし」といって、美術品に悪影響を与えないように、建材等から発生する化学物質を抜く工程があるのです。ところが枯らしを促進するために風を送り過ぎた結果、一部割れてしまいました。

貼り直すには想定外の手間とコストがかかりますが、施工者はどこまで費用を負担するべきか、大きな課題になりました。最終的には、数奇屋建築を専門とする木下棟梁に比較的コストを抑えて修復してもらい、なんとか問題を解決したのです。

展示ケースに屋久杉など、日本の銘木を使うというデザイナーの提案を採用した。落ち着きながらもぬくもりを感じさせる、これまでの展示空間にはない仕上がりとなった(写真の框は屋久杉、縦見切は當麻寺で使用されていた天平古材)

内田
事業というものは突然さまざまな局面を迎えますが、落としどころをどこにするかというときに、山下PMCに助けてもらいましたね。結局、私たちには、こうしたいという「想い」があります。しかし、それができるかできないかの判断は、これまでは施工者に任せるしかありませんでした。

今回はデザイナーやゼネコンの意見に加え、私たちの「想い」を実現したうえで、予算の範囲で収めることも課題としました。この「想い」の実現は、プロジェクトマネジメントとしてのご提案なしでは無理だったでしょうね。
日比生
建築事業はコストも大きく、時間もかかります。そして設計や施工会社、そして事業主様など、立場が変われば想いも様々です。どこか一方の意見だけが突出していてはなかなか良い施設にはなりません。コストや素材、そして仕上がりに関係するみなさんが納得できる物を探ることが重要です。今回の事業においては、それが来館者に喜んでもらえる大きな要因になるよう心を砕きました。
  • Point01. カフェやレストランのスペースも充 実。居心地のよい空間も堪能できる。
  • Point02. 幅32mのガラス張りのロビーから相模湾を一望できる。
  • Point03. 日本の伝統的な技法や素材が、館内の随所に用いられている。

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